2014年3月16日日曜日

作品紹介『ブラジルに生きるヒバクシャ」 

 サンパウロで暮らす日本の被爆者たち。その活動とブラジルにおける核被害の実態に迫ったドキュメンタリー。原題は、「08:15 DE 1945」

 推薦:駐日ブラジル大使館 
     日本原水爆被害者団体協議会 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会 

広島で21歳のときに被爆した森田隆は、1956年に妻子とともにブラジルに渡る。サンパウロでスーパーマーケット「すきやき」が成功。そこを拠点に、ブラジル在住の被爆者たちに呼びかけて、日本政府に対し援護を求める活動を開始。1984年に、在ブラジル原爆被爆者協会を創設。2008年にブラジル被爆者平和協会と名称変更。02年、在外被爆者の援護を求める裁判に参加し、健康管理手当支給の控訴審勝訴をした。

  監督は、アルゼンチン出身のロベルト・フェルナンデス。ロベルト監督は、サンパウロで森田隆たちと出会い、自らカメラを回す。そのカメラは、森田の「すきやき」に集う在ブラジル被爆者たちと、サンパウロ市民の交流をとらえている。そして、森田たちがサンパウロ市内の学校で被爆体験の証言活動を重ね、子どもたちや教師たちをはじめとする広範な市民の敬愛と信頼を得ている様子を紹介している。

作品の後半は、ブラジルのゴイアニア市でおきたセシウム137事故などの、ずさんな核物質管理の実態と、その被害者たちの様子と苦悩を生々しく報告している。そして、その被害者たちにとって、移民となって生き抜いた日本の被爆者たちの存在が励ましとなっている様子が紹介されている。

 世界中が核に汚染された現代において、広島長崎の被爆者の体験や生き様が極めて先駆的で重要なものであることを教えてくれる貴重なドキュメンタリーである。

  このドキュメンタリーの製作には、ブラジル日本移民百周年記念協会、ブラジル日本移民史料館、ブラジル被爆者平和協会、ブラジル広島文化センターなどが協力。国際交流基金が支援してしている。
 
 ロベルト監督は、『08:15・1945』に続いて、長崎被爆をテーマにした作品を製作している。

ETEC* TAKASHI MORITA

  作品の中で紹介されますがサンパウロの市民は、長年に渡って被爆の証言活動を続けているブラジル被爆者平和協会・森田会長の功績を高く評価し、2011年10月に、サンパウロの州立職業高校(技術専門学校)の名称に森田隆の名を刻んで「ETEC* TAKASHI MORITA」とした。

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